先月からUSJの元執行役員、森岡氏の著作を紹介しているくせに連休中にディズニーシーに行ってきた越水です。
というわけでまたまた森岡氏の著作を紹介します。 しつこいかもしれませんが、本当に勉強になるのでおすすめです!
確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力
読み応えがありそうな表紙ですね!
この本には森岡氏がUSJ復活のために、数学的なフレームワークを利用してどのように戦略を作ったかということが書かれています。
理屈や数字の根拠に基づいてビジネスをするのが好きな人は、きっとハマるはずです。
目次
ヒット成功率98%!ビジネス成功の確率を高める数学マーケティング
森岡氏が2010年にUSJに入社してから、本書が出た2016年までのマーケティング施策成功率は98%!これは驚くべき確率です。
決してこの勝率は偶然によるものではなく、数学的フレームワークを活用することによって、勝つべくして勝つ戦いを続けてきたということが述べられています。
「ビジネス戦略の成否は『確率』で決まっている。そしてその確率はある程度まで操作することができる」
ここまで言い切ることのできる、強力な数学的フレームワークの考え方を、数学が苦手な人でも理解できるように書かれたのが本書です。
経営資源は消費者のプレファレンス(好み)に集中すべき
市場構造を動かしているものは何か?
ビジネスの世界で勝つ戦いをするためには、市場のメカニズムを理解する必要があります。
市場の構造を理解せずにビジネスを展開することは目隠しで自動車を運転するようなもので危険な行為です。
市場構造を理解することで、その市場において企業が勝つ確率を上げることができます。
ビジネスで奪い合っているのは消費者プレファレンス
ではその市場構造を決定づけているものは何か?
本書ではそれは消費者のプレファレンス(好み)と表現されています。
購買を決定する消費者は市場において最強の存在であり、ビジネスに関わるどの立場の人でも、消費者の購買行動に従わざるを得ません。
ビジネスにおける競争とはそうした消費者の購入意志決定の奪い合いです。
つまり消費者のプレファレンスを上げることに経営資源を集中すべき、ということが述べられています。
勝つ確率の高い戦いを選ぶ、正しい戦略について
ビジネスにおいて経営資源は常に不足しているのが前提です。
限りある資源で最大限の成果を出すためには、しっかりとした戦略を立てなければいけません。
売り上げを伸ばす戦略の焦点はたった3つ
本書には、売り上げを伸ばすために、経営資源の配分先は次の3つに集約されると書かれています。
- 自社ブランドのプレファレンスを高める
- 認知を高める
- 配荷を高める
プレファレンスは先に述べたとおり、ブランドに対する好意度です。
認知はどれだけそのブランドが知られているか、配荷は消費者が商品をいつでも買える状態がどれだけ整っているかを表します。
3つの焦点の中でもプレファレンスは最重要
その中で無限の可能性を持っているのはプレファレンスのみ。
そのため、最も経営資源を集中させるべきはプレファレンスを高めることだ、ということが繰り返し述べられています。
戦略を立てるための市場調査と需要予測について
とはいえ「そのプレファレンスってどうやって調べるの?」という疑問が湧き上がりますが、本書ではそうした答えについてもしっかり説明がされています。
森岡氏とP&G時代から長年交流してきた、市場調査と需要予測のスペシャリトである今西氏の解説は、非常に読み応えのあるものです。
後半には実際の数式を交えた数学的な解説も掲載
本書の後半部の大半は、プレファレンスが市場構造を支配していることを証明するための数式モデルの紹介がされています。
数学の知識が多少ないと難しいパートかもしれませんが、こうした数式モデルを活用することで確率による意志決定が可能になること、市場構造を決定しているのはプレファレンスだということを理解するだけでも読む価値がある一冊です。
まとめ
本書は感情に支配されず、合理的な意志決定を行いたい経営者やビジネスマンにはぜひ読んでほしい本です。
USJ大復活劇の中心となったマーケターの頭の中で、どんな論拠をもって戦略が決定されていたか、その一端を知るだけでも知的好奇心が刺激されます。
これまで森岡氏の著作を3冊紹介してきましたが、マーケティングが経営判断において重要な位置を占めると感じている方は、どれもおすすめなので、ぜひ全部読んでみてください。
それではまた!
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