資金難を戦略思考とアイデアで乗り切り大復活!「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」を読みました。
好きな魔法はエクスペクトパトローナム!こんにちは、越水です。
森岡毅さんという方をご存知でしょうか?マーケティングに関わっていれば知っている方は多いと思います。
森岡氏は、あのUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)の執行役員を2017年1月まで務め、USJの業績を劇的なV字回復に導いた立役者と呼ばれる著名な戦略家・マーケターです。
連休中に森岡氏の著作を読み漁ったので、今回はそのなかの一冊をご紹介します。
USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? (角川文庫)
この本は、ハリーポッターの世界を再現したことで有名なUSJの人気エリアがオープンする直前に書かれた本で、巨額な投資を必要としたハリーポッターエリアオープンまでに森岡氏が行った施策についてまとめられています。
集客数倍増、入場料金30%以上値上げを可能にした施策の数々
森岡氏はUSJに入社後、潜在需要を掘り起こすために、ハリーポッターエリアの建設を含む3段ロケット構想を打ち立てます。
しかし問題なのは、構想の核となる新エリアオープンまで、限られた資金で「どう食い繋いでいくか」です。
本書のなかでは森岡氏が多額の資金をかけずに集客を実現していくために、以下のようなアイデアを次々実現していく様子が書かれています。
- 原作やアニメファンを取り込むワンピースプレミアショー
- 震災後の自粛ムードに対応する子ども無料のスマイル・キッズフリー・パス
- ハロウィーンの新たな需要を創出したハロウィーン・ホラー・ナイト
- 多くのゲームファンを抱えるモンスターハンターとのコラボイベント
- クリスマスシーズン強化のためにギネス認定「世界一の光のツリー」を投入
- 人気アトラクション「スパイダーマン」のリノベーション
- 既存のジェットコースターを後ろ向きに走らせることで実現した新アトラクション
これだけ様々な施策を立て、そのどれもが高い精度を持って成功していくのだから驚きです。
こうした施策の数々の末に、ファミリー向けエリアやハリーポッターエリアのオープンが実現し、森岡氏の入社以前と比べるとUSJの年間来場者数は倍増、入場料金も30%値上げを達成することになりました。
アイデアは闇雲に考えずにフレームワークを活用して生み出す
本書ではこうしたアイデアを生み出すためのフレームワークについても紹介されていますが、特に文中に何度も登場する戦略的フレームワークについては何度も読み返したい内容です。
戦略的フレームワークは、次のように目的→戦略(必要条件)→戦術(アイデア)の順番に考えていくことで効率的にアイデアを生み出し、集中すべき戦術を合理的に判断することができる、というものです。
- 目的:そもそも達成すべき命題は何か?
- 戦略:目的達成のために資源を何に集中するか?(これがアイデアの必要条件になる)
- 戦術:具体的に何を行うか?(これがアイデア)
このフレームワークを利用することで、そもそも考えるべきアイデアの範囲を絞ることができます。
戦略を実現するための戦術にも強くコミットする
森岡氏は数学的なマーケティング手法や需要予測モデルを利用しており、その精度は驚くべきものです。
彼の戦略はそうした数学的な根拠にもとづいて導き出されますが、本書で感じるのは戦術に対しても相当な強さでコミットメントをしているということです。
本書の後半には、当時オープンを控えていたハリー・ポッターエリアの様子が多く描かれていますが、実は本書の出版自体がハリー・ポッターエリアオープンのニュースに世間の目を向けさせるための戦術のひとつであることが後に明かされています。
戦略と戦術、両面へ高いレベルと熱量でコミットメントするから企業は変わっていくのだと思いました。
森岡氏の著書はどれも刺激的で勉強になるものばかりでおすすめです。
また別の本もこちらのブログで紹介していきたいと思います。
それではまた!
ホームページ制作だけでなく、SNSやブログを活用したWebマーケティングのご提案も得意としております。